同僚のAさん(男性、50歳代)からお伺いしたお話です。
Aさんは、40歳代のころ、上司からひどいパワハラを受けていたそうです。
皆のいる前で大声で怒鳴られたりは茶飯事、全く理不尽なことでも、それはもう聞くに堪えないような言葉を浴びせられたと言います。
とりわけ組織を大事にする職場だったので、誰もその上司には何も言わなかった(言えなかった)そうです。
もちろん、Aさんも何も言えない。
ところが、そんな時、Aさんが一人夜遅くまで残業していると、たまたま隣の部屋で残っていたBさん(男性、20歳代)が、そっとAさんの事務机の上に缶コーヒーを置いていったそうです。
そして、Bさんは何も言わずに部屋から出て行った。
Aさんは大変びっくりしました。
AさんとBさんは同じ部署なので、上司も共通です。
そんなことをして上司に知れたら、Bさんまで上司に何をされるかわからない。
でも、そんな中でも自分に温かい気持ちを伝えて応援してくれたBさんに対して、とても嬉しい気持ちになりました。
そして、自分は一人じゃないんだと思うと同時に、こんなパワハラいつまでも続くもんじゃない、負けずにがんばろうと思いました。
Aさんは、いま日の当たる部署で充実した仕事ぶりで評価されています。
私はAさんからこの話をお伺いしたとき、しみじみと語るAさんの微笑みの奥に、お会いしたことはないけれどもBさんの心の温かさを感じました。
ちょっとしたことですが、なかなか出来ることではありません。
人のためにする行いで、しっかり徳を積んでいらっしゃる。
たった一つの行動で人を救っているのですから、職業カウンセラーさんよりも凄いかもしれません。
さらに言えば、Bさんの行動で、Aさんは自分の辛い境遇がいつまでも続くものではないと思っているのですから、これはもう、立派な占い師です。
ひるがえって思うのですが、占い師というのは本来こうあるべきだと。
占いは、当たるから凄いのではなく(もちろん当たらないのは話になりませんので、当たるのは当然として)、人に光を示して幸せに導くことこそ、役割があるのではないでしょうか。
手相でも、タロットでも、その他どんな占いでも、人生に指針を示して幸せに導くことに本来の姿があります。
また、占いが表す無意識の世界というのは、そういうように、必ずプラスになるように示してくれるものです。
占いの技術を磨くことはもちろんのこと、どんな風にアドバイスするのがプラスになるのか。
一つの言葉、アドバイスが、温かい1本の缶コーヒーたり得ているのか。
皆さまに幸せになっていただくことが第一ということを忘れず、今後とも鑑定してまいりたいと思っています。